世紀の凡戦? メイウェザー対パッキャオ

2015年5月3日、めちゃくちゃ楽しみにしていた試合をWOWOWで視聴した。

メイウェザー対パッキャオの王座統一戦。

確かに良い試合だった。あっというまに12ラウンドが終了。戦前の僕の予想は「メイウェザーが勝つと思う」だったけど、感情的には「パッキャオに勝ってほしい」。結果はメイウェザーが3-0の判定勝ち。攻めの姿勢だけはパッキャオに軍配が上がるが、終始手数と当たったパンチの数で上回り、大差の判定となった。

 

だが、うーん、これでいいのか? 「面白い試合」だったが、「世紀の一戦」とは言えなかったんじゃないか、これ。

ポイントで圧倒的に引き離したメイウェザーは倒しに行かなかった。なんで、続けて良いパンチを当てて、パッキャオのディフェンスにほころびを生じさせたら一気に攻めないのだ。特に11ラウンド。ここで集中攻撃したらKOできたはずだ。

 

過去の「名勝負」と比べてみた。

伝説の一戦。恐らくボクシング史上最高のマッチ。

1981年9月16日。

シュガー・レイ・レナード対“ヒットマン”トーマス・ハーンズ。

14回TKOで、レナードが勝った。

13ラウンドまではパンチで上回るはずのハーンズがポイントで上回る展開。ところが、14ラウンドに入って形勢逆転。ハーンズの疲れ、わずかな隙を見つけたレナードが千手観音が乗り移ったかのような雨あられの攻撃。

「とめろ、とめろ」のレナードのジェスチャー。

レフェリーが両者の間に割って入って、レナードのTKO勝ちを宣言。

 

これが、ボクシングだよな~って思う。

 

ハーンズ対デュラン、レナード対ハーンズの再戦、判定が微妙だったがレナード対ハグラー。すべて、素晴らしい試合だった。

それは、両者が相手を倒そうとしたこと。

それに観客も視聴者も魅了された。

 

ところが、メイウェザーは倒しに行かなかった。パッキャオに打たれて形勢逆転される危険を冒さなかったのかも。

でも、それじゃ「アマチュアボクシング」だよ。

今朝のNHKニュース。明かなミスリード

 朝7時半ごろ、こういう特集がありました。「先月海底で発見された戦艦武蔵。その姿は私たちに何を伝えようとしているのか。乗組員たちの証言でたどります」。

 レイテ沖海戦の概要と武蔵に対空火器が増やされたが土嚢で銃座を囲んだものもあったという。対空射手と米軍航空機はまさに食うか食われるかだった。武蔵乗員たちは艦載機の攻撃で手足がバラバラになり、銃座で邪魔な遺体は露天甲板に落とさざるをえなかったなど。

 ここまでは武蔵の乗員たちの非業さが語られていたが、その次の段になると、「米軍は沖に潜水艦などが待機し、撃墜されて落下傘で海面に降りる米軍兵士を救っていた」という証言。そこから「米軍は兵士を大事にし、日本軍は兵士を使い捨てにした」という結論が導き出されていた。

 ちょっと待って。

 確かに、大東亜戦争中に日本軍は兵士に「死に方始め!」「戦って死ね」と教えて来た。日本軍が兵士を大事にしたとはいえない。確かにそうだ。でも、それとこれとは違う。「米軍は人道主義だから兵士を救った」のではない。

 

 結果としてそう見えるから、「米軍は人道的」と言い切るのも無理はないが、それではあまりにも太平洋戦争の背景を知らなすぎる。今回の放送は、そういうことを知らないというよりも、GHQ史観に基づいた放送なのだろう。

 「米軍が味方の兵士を大事にした」。そらそうでしょう。そうじゃないと誰も本気で戦わないから。つまり、大事にした理由は「もっと働け」です。

 それ以上に当時、米軍が気にしていたのは国内世論です。

 もともt、米国世論は対日開戦を否定していた。ところが、大統領のルーズベルトは日本を叩き潰したい。チャーチル英国首相や宗美齢氏からの参戦要望も強く、米国政府は日本を徹底的に追い詰めていく。結局、ルーズベルトの読み通り、日本が先に対米攻撃を開始。真珠湾が攻撃されて、一気に米国世論が「日本叩くべし」に変わった。

 

 米国世論が戦争反対なのは「米軍兵士が死ぬから」。「もう戦争は理由がどうであろうと、やりたくない」が米国民が第一次世界大戦で学んだことだった。それに反して米国政府は対ソ政策、極東利権などのために戦争を続けたかった。

 

 結果からみたら、「米国は兵士を大事にした」となるが、実際はそうではない。米国兵士が死ぬと国内世論が「戦争反対」に傾く。それが嫌だった。ただそれだけだ。

 

 2015年になっても、GHQの6年に及ぶNHKへの「指導」がまだ生きているようです。